つまらないことをしては 美しさを忘れ
また置き去りにしている 奇跡のとき
どこまでも追いつけない 船にふたりは
のっているのか それとも ひとり小舟で
沖にゆれる 鐘の音も届かない 隔たり
眠っているときですら 流れ続ける
血に溺れ 処理しきれない過去を 飛躍する
平凡にしようとするわがままを 美しい人が
踏みつける地の草 ひび割れた石の奥に
光を見る
つまらないことをしては 美しさを忘れ
また置き去りにしている 奇跡のとき
どこまでも追いつけない 船にふたりは
のっているのか それとも ひとり小舟で
沖にゆれる 鐘の音も届かない 隔たり
眠っているときですら 流れ続ける
血に溺れ 処理しきれない過去を 飛躍する
平凡にしようとするわがままを 美しい人が
踏みつける地の草 ひび割れた石の奥に
光を見る
見えている 僕には
もの凄いスピードで光りを取り戻した姿が
長靴をはき どっしりと足をおろした人が
泣きながらスコップで土を掘り起こしたかと思うと
もう道ができている 春の匂いする帰り道
季節はめぐり 他所の人が大げさに賞賛したが
彼らにはどうでもいいこと
今日もまた 泥にまみれた長靴で歩く
春の匂いする帰り道
音がすべてを解決する
悪く映るものも、善く映るものも
すべてを自由に導く
自由ははじめからここにあった
耳のない人が 注意深く澄ませると
波ははじめからここにあった
顕微鏡で見るような細胞に戻った人間は
もう戦争をすることができない
何ひとつ 選べない 好きなだけの夢をみて
目覚めたら 受け入れる ありふれた自由を
気持ちいいのだけつなぎ合わせて完成の途中の完成を収めた 音
1.宙に漂ううちに覚えた一番最初からあった子守唄
2.そこへ還るための入り口
3.ヒトデ、珊瑚その他深海生物の日常会話
4.ローブを手繰って上昇すると見えてくるゆらめき
5.特殊な実験装置のこだまを確認するための信号
1.まだ寝息を立てている葦が群生する湖畔の早朝
1.ようやく殻を割って顔をのぞかせた新種の虫の産声
2.いつか争いを繰り広げた荒野に一人佇み風に吹かれる
3.砂漠の砂粒にくるまり眠りにつく王女
4.世界を旅した雲の祈りを結晶にしたペンダント
5.霞かき分け天高く昇ってゆく龍の鱗が摺れ合う
6.ミツバチたちの一切無駄のない会議
7.館の隅に置き去りにされた死人の微笑み
おまえがなけりゃ ああこんなにも哀しい日々
ぽっかりと穴のあいた虚しさよ
おまえがなけりゃ人生は こんなにも
ゆたかになるはずがなかったのさ
歓びの朝も 愉しい午後も
夜には星のささやきさえも
みんなおまえが連れてくる
一杯の珈琲を ああ一杯の珈琲を
いまにも消えて無くなってしまいそう
どうにかして残したいと願う
一枚の写真とか地図とか手紙とか 一節の音楽
残したところできく人のない未来に
何を託す? 一人のこども ほほえみ
生まれ 覚えのない昔話を絵にするだろう
僕らの綴ったアルバムのように
汽車に乗り 空と海をゆく船を浮かべて
さみしさ連れて歩いた 僕より大事な人
きいておくれ 瞬きのうちに過ぎ去ろうとも
はかない永遠にむせた午後のあったことを
もうすこししたらあなたがやってくる
小さな袋にいいもの持って
私は黄色の花びらを お皿に浮かべて待ってるわ
それから一緒に土の中 虫かごもって出かけるの
何千メートルおりたところに 静かに雪が降っている
幾何学模様のその虫を かごにそっとつめこんで
またあの部屋へ帰りましょう
溶けてしまった虫の背を 分からずにただ泣いてても
なんてことない煙のように ゆらゆら笑うあなたの合図で
その先はまたころがってゆく
明日になったら はりきって ミシンを踏んでスカート縫うわ
ゆうきのゆと めくじらのめを 分量よくつなぎあわせて
きっといつものおとくいさまが 気に入ってくださるに違いない
そしたら今夜はむらさきの 丸い花をコップに入れて
あなたが来るのを待ちましょう
枯れ蜻蛉のはなし
枯れ蜻蛉の体は青かった
貝の内側ように鋭く光る腹
砂漠を行く風は 美しい彫刻をつくった後
その青みでひと休みした
もっと小さな虫たちは その鮮烈に心を手に入れた
今はもうどこにも ひからびた羽があるだけ
大の字に寝そべって深呼吸ができる
黙々と歩き続けることができる
おでこを前髪で隠さない
日頃からそのような環境を
つくっておくことが大事です。
昇りすぎる状況にも
瞬間的なひらめきがくる。
根をはり、のびやかな状態の継続
いつでも木は生物の理想です。
もっとなにか差し出せるものが
あるといいのだけど なんにもないので
月を見上げて ごまかしているのです
あと少しの間に 全部そぎ落として
それでも捨てきれなかったものを
贈ったとしても 足りないほどです
無意味をあげたいけれど 方法がわからない
すべて捨てたらヒントくらいは
見つかるでしょうか
どこにいても 何をしていても
ゆるがないものを持って
「根っこが生えるような家をつくりたいのです」
と、僕は大工さんにお願いするのです。
いつでもどこへでも旅立てるようなものしか
置いていない家。に住む僕たちが
しばらくして姿を消しても
また 僕らみたいな人が暮らし続ける。
だから僕が言いたいのは、
泣き出しそうな感情を淡々と貫くやさしさに
憧れているということなのです。
人生とはかくも残酷で惨たらしく虚しき世界
どれだけ懸命に生きてきたと思ってみたところで
人の悲しみとねたみの渦巻く世の中では
おもいがけない飛び火によって一生の願いや夢を
一瞬のうちに打ち砕かれるやしれない
自らの意思と行動によって
幸せの何をも約束されることなどなく
悔しさの中に無力を思い知り
やりきれなさが押し寄せる
懸命に過ごしてきた日々すら結局は
幸せになりたいがための我でしかなかった
結局は善い行いの代わりに
幸せの見返りをくださいと乞う乞食でしかなかった
今、残された道はどこにあるのだろう
儚くも裏切られる不条理な現実に見舞われ、手も足も出ず
ただ起きてしまったことの前で立ち尽くす私に残された道は
神も仏も大いなる導きも空となり
私はただ目の前に残された者に
人として献身的になるよりほかなにもない
一時の前後もなく、この一瞬を受け入れることを
繰り返し積み重ねてゆくほかない
どのような見返りもなく報いですらない
宇宙の片隅で戯れる美しい蝶と花
どんな風が吹こうとも
そこにはなんの計らいも根拠もないをこと知り
ただこの一瞬に寄り添っていこう
そう だから ぼくが もっと 言いたいことは
海の底へ ずっと 奥へ 沈めてあって
自分から 取り出すような ことは
今ではもう なくなった
でも 本当に 必要な日には
ぼくが わざわざ 引き上げなくても
知らないうちに 共有してしまうって 信じているから
波に運ばれて いつのまにか 渡るって 信じているから
ぼくと あなたの ずっと奥の 底の 方にある 確信を
試しているのかもしれない
ぼくは 本当に いじわる になった
休日の厳しい瞬間
おやっ?
残念だったね
後先考えず
あたし6:4
あたし3:7
大きく越えるのは
まだ無理みたい
今日もミルクプリンを
食べてしまったもの
明日起きたら もしかして…
グレープフルーツが、
コーヒーの後味が、
苦い かもしれないから
君のほっぺに
ハチミツを塗っておこうよ
手のひらではねる
今日を合わせて
明日に捧げる
しのび込むと
シャッターを閉め切った 湿った工場で
汗水垂らして男たちが創っていたのは
美しい豆本だった
金の縁取りをほどこした抜かりのない仕上がりは
男たちの誇りであり ロマンだ
この8センチ四方の麗しき本に
男たちの欲望は渦巻いている
照りつける太陽のことも
風のやさしさも忘れて
男たちは鋭い目つきで仕事に励む
そうね 一生に一度でいいから
あなたと旅をしたいわ
電車に乗って 田んぼのあぜ道を歩いて
思い出をふたつみっつ取り出したら
町のはずれの画廊へ行きましょうよ
きっと小さな器が待っているわ
私たちにしか知らない色の
何も入れられない器が
「いいね」って言うと
「いいわね」って言うのよ
そうね きっとそうね
そして今までに一度だって経験したことのない
完璧な買い物をするの
はじめは私が持っていて
次に会った時は あなたが持って帰るの
私たちが会うたびに その器は
行ったり来たりしながら 次第に満たされてゆく
ゆっくり ゆっくり
やがて私たちがもう会えなくなるまで
時計台の中で 秘密の飴をなめている
ひと粒がすっかりなくなったら
外へ出て 針をひとつ進めているのが
この二人
街行く人はだあれも知らない
二人の役目のあるところ
ほんとうの ほんとうは…
受ける印象を 鳩がついばんで
お堀の奥深く 逃がしてあげる
だれよりも やわらかくあって欲しいので
簡単には現れない
鳩の役目のあるところ
ほんとうの ほんとうは…
黒板の裏の文字を ひとつずつたどってゆけば
隠し部屋につながる
「まあだだよ」と肩をすくめる
あの子らを見たかい?
6人そろって準備する
彼らの役目のあるところ
ほんとうの ほんとうは…
雲のつなぎめを探して飛ぶ
涙の止まらないトリが
とうとうくちばしを真っ赤にして
身を粉にして消えていった
厳しい寒さに耐えきれず
羽をなくしたトリは
どこへ飛ぶこともできずに
お腹を空かせていた
時折 季節の中で立ち止まること
声についてゆけないでいると
もうすぐ日は暮れて
「もういこうよ」と僕をうながす
疲れたの?
決まってない。
今までいたの?
それまでだったの。
あれ、しっていた?
ないてるの?
心配してるよ。
近づいてくる予感。
いなくなってる。
シナモンで
すーっとして
泣きながら
ハチミツぬって
ごらん、ってば。
もう花が散っちゃう。
気づいてよ。
笑ってるの。
見て、ってば。
知らないよ。
見てないと。
知らないよ。